◆「経営倫理士」誕生~向後

◆「経営倫理士」誕生~向後

任意団体からNPO法人へと改組、活動も本格化し…

2006年(平成18年)6月1日
ライフ・ワークとしての経営倫理
BERC 元会長 水谷雅一(経営倫理実践普及協議会 元座長)
*以下、BERCニュース 第15号より引用

三位一体構想の出発
新しくスタートすることになったBERCの事務所の選定には、便利で、静かで、安いところを見つけるのに都内各地を廻って物色に努めた結果、青山一丁目の交差点近くの現在のBERCオフィスに落ち着いた。平成十年の二月にようやく店開きをしたが、貧しい資金からのスタートのため、必要な什器備品を最小限度に押さえ、細々と仕事を始めた。事務所は手島氏を筆頭に岡部・内田の両君が担当し、研究スタッフも日本経営倫理学会で活躍中の硲・梅津・田中・大倉・貫井など各氏の協力を得て徐々に活動を開始した。因みに前記の第一回理事会の直前に、このBERCの正式発足を日経新聞の夕刊トップ記事で報道されたことはその後の賛助会員企業の入会勧誘に大いに役立ったといえ、産声を挙げたばかりで認知度も低く当分の間、勧誘活動は必ずしも充分に捗らなかったが、発足三~四年目からBERCの経営倫理の実践研究と啓蒙活動が徐々に充実すると共に会員企業数も増加するようになってきた。
実は、予てより私はわが国で経営倫理の研究と実践を推進してゆく体制として、三つの柱の構築とそれぞれの発展が不可欠であると考えていた。つまり、「三位一体の体制」づくりである。その第一の柱は「専門学会の創設と発展」であり、日本経営倫理学会の旗揚げと活動がそれに当る。経営倫理論の発展のための調査と研究が主要機能となる。第二の柱としては、まさにこのBERCのような「経営倫理の企業社会に向けての啓蒙普及機関の創設と発展」である。実践のための研究にも教育にも学会での調査・研究や学会員の協力が必要であるし企業の実践データをはじめ実際の状況把握は学会の研究にも寄与することは云うまでもないから第一と第二の柱が強くタイアップすることが望ましい。
第三の柱は第二の柱を補完する効果を期待するものだが、企業社会の中に経営倫理の専門家を増やしこれからの経営そのものに不可欠な経営倫理実践の専門的検討を企業が主体的に進めることを可能ならしめるための「経営倫理士の養成と資格認定」である。
第三の柱については第一の柱の学会の創設がようやく軌道に乗り、第二の柱のBERC創設の話が持ち上がった平成九年の初夏の頃にスタートした。当時の私のこの構想に共鳴し経営倫理士の資格講座の事務局機能を引き受けてくれるところがあればと思っていた矢先、経営倫理の実践普及を是非やりたいという篤志家が現れたのは幸運であった。これにより私の三位一体構想が発足することになったわけである。

 

2006年(平成18年)8月1日
「経営倫理士」の誕生
*以下、BERCニュース 第16号より引用
かねてから長いお付き合いをしていた畏友野田一夫氏(多摩大学創設者で名誉学長)が開催されたあるパーティで偶々同席のダイヤモンド社の藤島・小黒両氏が私の自己紹介の中での“最近は経営倫理に真剣に取り組み中である”という話を聴かれ強い興味と感心を示されたのが、先号で述べた私の「三位一体構想」の第三番目の柱がスタートする契機となった。ダイヤモンド社国際経営研究所では予てからわが国でも経営倫理の必要性を感じていたので、その取り組みチャンスを窺っていた模様であった。
先頃亡くなられたアメリカの著名な経営学者P・ドラッカー先生との交流を中心に諸業務を進めていたダイヤモンド社国際研が、「経営倫理士」の養成と資格認定のための事務局機能を引き受けてくれることになったのは幸いであった。早速、そのための新組織として「経営倫理士実践普及協議会」を設立し、資格講座の立案と編成を進めて、私が同講座の座長を兼ねることになった。因みに同協議会の理事会には国際研の小熊社長、藤島氏などのほか、梅津・久野・松本の各氏も理事として参加して貰い、運営の基本事項を検討しながら進めている。毎年開く同講座は期間を十ヶ月とし毎年一~二回の集中講義と三回のリポート提出を経て、最終テストと面接により合格者に「経営倫理士」の専門資格を授与する仕組みである。企業で働きながらこの専門資格取得のための学習を続けやすいように工夫されている。毎年募集を続けているが、次第に受講者が増え、平成九年(1997年)にスタートして既に資格取得者は本年八月ではほぼ二百名となるい至った。
最近、本秋からの第十期講座の募集を開始したところだが、毎年のいわば卒業式に当たる資格授与式で資格取得者の多くは期待した通りの内容で体系的に学習し、理論と実践の両面で頭の整理が出来て大変に勉強になったとの感想を述べている。講座の最初に経営倫理論の総論として前期の拝著にある「経営価値四原理システム」をベースに経営倫理の基礎理論を修得してもらい、その後で各論として倫理監査、コンプライアンス、倫理研修・教育、CSRなどの各論を学び、さらにケース・スタディや先進企業例紹介を行い、私の最終総括講義を以って終了するというスケジュールである。この間、年末年始の休暇や5月連休の時期などにリポートを作成して提出させると共に最終のテストと面接により資格授与の可否をきめることになっている。BERCの会員企業の多くではこの経営倫理資格の取得者が増えているが、私は一社に複数の有資格者がいることが望ましいと常々思っている。

 

 

2009年(平成21年)10月1日
NPO法人格を取得
旧日本経営倫理士協会(ACBEE) 専務理事 千賀瑛一
*以下、経営倫理フォーラム 第2号より引用

発足12年、活動も本格化 340人(経営倫理士)第一戦で活躍中
日本経営倫理士協会は8月末、法人格を取得し特定非営利活動法人(NPO)日本経営倫理士協会(ACBEE)=辛島睦理事長となった。これは非営利活動促進法に基づくもの。
ACBEEが実施する活動は主に以下の通り。①経営倫理士資格取得講座(年間コース)の実施。第14期講座は2010年5月~12月に開催。②専門コース講座。ポーラ・オルビス・ホールディングス内部監査部長の吉田邦雄氏による「内部監査」(10月23日)のほか、「研修スキル向上セミナー(11月20日)」など。③シンポジウムの開催。去る7月27日には「パワーハラスメントで職場崩壊も…」が開かれ、注目を浴びているパワーハラスメントに関いて熱心な講義が交わされた。④視察見学会。バスツアー「現場に視るCRS」としてパナソニック電工のサイバードームや国民生活センターの商品検査システムなどを視察(10月29日)⑤広報活動として、日本経営倫理士協会の活動や、経営倫理の諸動向に関する情報紙を定期的に発行するほか、ホームページから情報発信する。この他にも、コンサルタントや各種研修への講師派遣などもACBEEの活動として展開する。
日本経営倫理士協会は発足して12年、毎年「経営倫理士」資格取得講座を開催している。この12年間で約340人の「経営倫理士」が誕生している。これら「経営倫理士」は各企業の経営倫理・CSR担当者として、第一戦で活躍している。

790人(経営倫理士)が第一線、多方面で活躍中

2023年(令和5年)12月13日
旧日本経営倫理士協会(ACBEE) 理事長 潜道文子
日本経営倫理学会(JABES) 会長
拓殖大学 副学長・商学部教授

特定非営利活動法人日本経営倫理士協会臨時総会が開催され、解散決議が可決された。解散時の「経営倫理士」資格取得者は790名に達した。「初級経営倫理士」は60名。

向後:経営倫理士3.0への道(草案)

2024年(令和6年)10月15日
「バランス」こそ至上命題 経営倫理士3.0

想定する諸活動(2024年~) イメージ

1997年~(水谷イズム) 
経営倫理実践普及協議会

経営倫理士1.0 
⇒ 経営価値四原理システムに準拠した育成プログラム

2009年~(千賀イズム) 
日本経営倫理士協会(ACBEE)

経営倫理士2.0 
⇒ 経営価値四原理システムから拡張した育成プログラム

2024年~ 
経営倫理士ポータルサイト(経営倫理士ドットコム)の運用

経営倫理士2.1
⇒ プラットフォームの価値を高める(経営倫理士の満足度)

2025年~ 
経営倫理士ならではの「方法論」を確立し、「三位一体」の再構築にチャレンジ

経営倫理士2.5
⇒「方法」を導く規則、その「方法」から得られる道徳規則など 

202X年~(暫定イズム) 
新たな「経営倫理士」の再生産にチャレンジ

経営倫理士3.0 
⇒ 経営価値四原理システムをより探究(探究)した育成プログラム